5:「幻獣」という生き物

ちゃぷ…。

 

木造で出来た、小さなお風呂。

食事を終えたルイは、汚れた身体を洗う為、風呂場に通された。

 

何でもこの木造の小屋は、ヘンドリックが一人で建てたのだという。

知り合いに設計してもらい、ログハウス風に一人で仕上げたのだった。

なかなかの広さで、彼一人で住むには充分な快適空間だ。

当然、この浴槽も彼のお手製である。

 

「着替え、ココにおいておくね~♪」

 

明るい声で、ヘンドリックは入浴しているルイに伝えた。

 

「お風呂から出て着替えたら、さっきルイちゃんが寝ていたお部屋に来てね。
あ、ちなみにこの服、僕の息子の小さい頃の服なんだよ~。
とって置いて良かった!」

 

どうやらヘンドリックには息子がいるようだ。

だが一緒に住んでいる様子ではない。

既に独立したのだろうか?

 

数分後。

 

ルイは入浴を終え、ヘンドリックが用意した服に着替えて、さっき寝ていた部屋を訪れた。

 

「あっ、来た来た♪きれいになった…」

 

入浴を終え、キレイになったルイを見て、ヘンドリックは思わず言葉が止まった。

だが、すぐに言葉を発する。

 

「……わぁ、ルイちゃんの髪の色、灰色かと思ったけど、白、薄い紫?いや、水色かな?

ううん、銀色だ!プラチナって言うのかな?とてもキレイだ…」

 

ルイの髪を見ながら、ヘンドリックはうっとりとしていた。

ルイに近づき、髪に触れようとするヘンドリック。

 

その時…

 

「きゅ~!」

 

ぼふっと音が聞こえそうな程の速さで、小さな何かがヘンドリックを越えて、ルイの胸にしがみ付いた。

 

「うん?何が通ったの…え、モンスター!!!?」

 

ルイの胸にしがみ付いている、何か。

その何かは、20cm程の大きさで、獅子に似た姿。

金色のタテ髪が光に照らされ、キラキラと輝いている。

背中には、小さな羽根が生えている。

 

「ルイちゃん、危ないからじっとしていて!!」

 

まだ小さいとはいえ、モンスターには変わりない。

もしかしたら、親が近くにいるのかもしれない。

とっさに壁にかけている剣に手を伸ばすヘンドリック。

 

「けど、この辺では見たことがないモンスターだな…」

「お~い、俺様の弟を殺さないでくれ。」

 

ゆっくりとタークスが部屋に入り、ルイの頭をポンポンと叩いた。

そして、ルイの胸にしがみ付いている、

「弟」と呼んだ小さな獣を両手で持ち上げ、ヘンドリックに見せる。

 

「弟の『ファスト』だ。」

 

ファストと紹介された小さな獣は、青く澄んだ、空のような青い瞳がとてもつぶらで、可愛らしい顔をしている。

 

「おっ弟って、その子モンスターだよね…?」

 

何が何だか分からない状況で、ヘンドリックは混乱している。

するとタークスは簡単に説明した。

 

「まぁ、モンスターといえばモンスターか。
俺様たち、『幻獣』なんだよ」

「…げんじゅう?聞いた事がないけど…?」

 

聞きなれない言葉に、首をかしげるヘンドリック。

 

「そう、幻獣だ。ちなみに俺様も幻獣。
ここの領地ではあまりいないのかもな…。
と、幻獣の説明か。何だか今日は説明ばかりだな…。」

 

やれやれと首を振りながら、タークスは髪で隠れた耳を見せる。

普通の人と違い、耳が尖っている。

 

「え、耳が尖がってる…妖精か何か?」

「幻獣って言ってんだろ。話を聞けっての!
幻獣ってーのはな、まぁ簡単に言えば確かに魔物に変わりない。
原点は魔物だったらしいからな。
…歴史を遡れば長くなるが、要約すると「人を守る魔物」ってトコロか。」

「人を守る魔物…でもタークスくんは人間に見えるけど?」

「あぁ、ここでの幻獣はこのファストのように省エネサイズだな。
幻獣は人と契約し、主から魔力を分けてもらって本来の力を発揮できる。
俺様たちの住んでいる幻獣界と人間の世界は魔力の流れが違うからな。
ここは魔力の流れが薄い。人型を保てる程の魔力を持った幻獣は、まぁ稀だな。」

「おぉ!!何だか話がでかくなって来たね!よくわかんないけど!」

「わかんねぇのかよ!!
ったく、要は俺様は強いから人の姿になれるって事だよ!!」

 

要領の悪いヘンドリックに、怒りで足を床に何度も踏みつけるタークス。

小屋はしっかりしているので、足が抜ける事はなさそうだ。

 

「で、タークスくんの主って人はどこにいるの?」

「わかんねーか?こいつだよ。この死にたがりが俺様の守るべき主様。」

 

コイツと言われたルイの頭に、タークスはファストを乗せた。

 

「おぉ!タークス君はルイちゃんのナイトだったのか!」

「ナッ、ナイト…?んな大層なもんじゃね…」

「おぉ!?もうこんな時間じゃないか!
良い子はおねんねの時間だね!ルイちゃん、さっき起きたばかりだけど眠れる?
眠れなかったら子守唄を歌ってあげるよ♪」

 

ルイは首を振る。どうやら子守唄はご所望ではないようだ。

タークスは無視されて、イライラしている。

 

「おい、人の話は最後まで聞けよ…あぁ、何かもーいいか…」

 

相変わらずマイペースなヘンドリックは、ルイの背中を押し、ベットまで連れて行く。

 

「今日は疲れたね。ベットでゆっくり休んでね。
あ、この部屋は3人で使ってね~!一人暮らしだから、余分な部屋がないのだ!
何かあったら隣にいるから呼んでね!
それじゃ、お休み~!」

 

手を振って部屋をでる、ヘンドリック。

最初から最後まで明るい、太陽のような人物だ。

彼が出て行った途端、部屋は静かになった。

 

「…まるで嵐のような奴だな。ああいうタイプは苦手だな…
ところで…「ルイ」でいいのか?お前の名前は?」

「…」

 

黙ってルイは頷いた。

ファストを頭から降ろすルイ。ファストは眠いようで目を閉じ始めた。

 

「お前、ココに世話になっちゃったりするのか?」

 

何も言わずにルイはベッドに入り、ファストを抱きしめ目を閉じた。

 

「無視かよ。相変わらず顔は可愛いが、愛想のない奴…」

 

夜は静かに更けていった……

 

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暇つぶしに見てやんよ!な優しいあなたへ

オリキャラの世界を作りました。
(重い)愛♥がいっぱいあふれてます。

人生の暇つぶし程度に遊んでいってね!
描き手が喜びます!!

小説
中二病デ何カ悪イ!?
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