6:短い団らん

 

森は動物達が活発に活動し始め、鳥達がさえずっている。

天気もよく、気温もいい。朝の日差しが眩しく、鳥の泣き声以外はとても静かだ。

 

ゆっくりと、ファストは目が覚めた。

ルイはまだ寝ている。どうやら朝は強くないようだ。

ルイに相手をして欲しいみたいで、ファストは「きゅ~」と声を出しながら、ぺちぺちと音を立ててルイの頬を叩く。

 

「…ん…?ふぁす…と?」

 

とても眠そうだが、ファストに何かあったのかと、ルイは目を開けた。

何事にも無関心だが、ファストには気をかけている様だ。

 

「どうしたの?」

「きゅ~」

「…相変わらず、何いっているのかわからない…」

 

ヒュン!ヒュン!

 

外から何かが振られている音が聞こえる。

ルイはファストを抱き、ゆっくりとベットから降りて窓から外を覗き込んだ。

 

「292!293!294!…」

 

外で、素振りをしている男性。

どうやらその人物は、ヘンドリックのようだ。

 

その様子をぼ~っと眺めるルイ。

ファストが「きゅ~!きゅ~!」と鳴く。

その声に反応し、ヘンドリックが窓の方に目を向けた。

 

「おはよう~♪ルイちゃん、ファストくん♪

早起きさんで、えらいね~★」

 

朝から変わらずの明るいテンションで、素振りに使っていた模造刀を手すりにかけ、近づいてきた。

 

「昨日の疲れは取れたかな?

早起きをしたら、いろいろなことが出来るからお得だよね!

ボクも毎朝これぐらいの時間に起きて、素振りをしているんだよ~!」

 

聞いてもいないのに、ヘンドリックはべらべらと語りだした。

だがルイは言葉を発するつもりもなく、黙って聞いている。

ファストは「きゅ~きゅ~」と鳴いているが。

 

「もう毎日の日課だから、しないと気持ち悪くなってくるしね。

いつもは5000ぐらい素振りするけど…

ルイちゃんたちも起きた事だし、朝食にしようか♪」

 

手すりに置いた模造刀をもって、小さな小屋があるほうに向かって歩いていく。

倉庫にしては大きめなな小屋だ。

 

「汗を流してスッキリしたら、すぐに朝食にかかるね~!」

「・・・・・・」

 

相変わらずルイは喋らないが、ずっとヘンドリックの方を見ていた。

 

 

汗を流し終わったヘンドリックは、慣れた手つきで朝食を作った。

今朝の朝食はシンプルに目玉焼きと、サラダ、そしてオレンジジュース。

ファストも増えて4人での朝食。

 

「買出しに行かないと、ろくな物が出せないなぁ。アハハ~♪」

 

困っているつもりだが、全く困っていないようだ。

朝食を終え、ヘンドリックは買出しの準備をしている。

 

「ルイちゃんたちも行く?」

 

小さく首を振る、ルイ。

 

「そっか~。ならお留守番よろしくね~♪」

 

パタンと音をたて扉を閉め、ヘンドリックは買出しに向かった。

「ふあぁ~」とあくびをしながらタークスがルイに話しかける。

 

「随分となついちゃってんじゃねーの、『ルイ』ちゃんよ~。
気に入ったのか?あのおっさんの事が?
・・・って無視ね。」

 

戸棚の上に写真立てがおかれている。

イスを引き寄せ、その写真を覗き込むルイ。

その写真は、今と殆ど変わらないヘンドリックと、赤い髪の長い女性が写っている。

ヘンドリックは相変わらずの満面の笑み、その女性は少しはにかんだ感じだが、無表情だ。

女性の肩に手を回し、中がよさそうに見える。

 

「何だ何だ、ヘンドリックの嫁さんか?無表情だが、なかなかの美人じゃねーの。
…ん?この髪飾り、ヘンドリックのつけている髪留めと一緒だな。
嫁さんから貰ったのか?…いや、コレはもしかすると……」

 

タークスは少し顔を渋らせた。

 

(この家にはヘンドリックしかいないって言ってたしな。
嫁さんだとすると、ここに居ないって事は離婚でもしたのか、果たして・・・)

「あ~、人のことを詮索するのは俺様のキャラじゃねー!
もうこの事に関しては終わりだ!!」

 

いきなり大きな声を出したので、ルイが少しビックリしている。

ファストもルイの頭からずり落ちそうだ。

 

「それより、今後の事だ!
お前どうするつもりだよ。ヘンドリックの養子にでもなるつもりか?」

「…ようし?」

 

聞きなれない言葉らしく、タークスに聞き返した。

まだルイは7歳。聞きなれないのも仕方がない。

 

「あー…早い話、
ヘンドリックの子供になってここに住むのか?って聞きたいんだよ。」

「…無理。迷惑になる。今から出て行く。」

 

ファストを頭から降ろし、両手で胸の前に抱きしめなおした。

何も持たずに、ルイはドアを開き、早足で歩き始めた。

 

「決断早いな。あぁ、束の間の温かいベッドよ、さらば。
再び目的のない旅よ、こんにちは。」

 

舞台の演技のような派手な身振りで、冗談めいた台詞をもらすタークス。

やれやれ、と先に出て行くルイを、ゆっくりと歩きながら追いかけた。

 

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暇つぶしに見てやんよ!な優しいあなたへ

オリキャラの世界を作りました。
(重い)愛♥がいっぱいあふれてます。

人生の暇つぶし程度に遊んでいってね!
描き手が喜びます!!

小説
中二病デ何カ悪イ!?
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