13:衝動

「なんだ、あいつ・・・」

 

タークスが驚いている。

ルイがこんなに喋ることはもちろん、自分の事を話すなんて。

 

(俺様にはほとんど喋べらねぇし、眉ひとつ動かさねぇくせに何だよ、あいつは!
・・・って何でこんな事で怒ってんだよ!!俺様らしくねぇ!!)

 

自己嫌悪に陥っていたタークスを尻目に、ヘンドリックとルイの会話は、少し弾んでいた。

 

「ルイちゃん、笑ってるね♪ママの事、好きなのかなぁ?」

 

母親のことが好きか。

子の年頃の子供なら、普通の幸せな家庭の子は、2つ返事をせずに「うん」と答えるはずだ。

・・・だが、ルイは黙り込んでしまった。

 

「すき・・・だったらダメ・・・」

「ん?好きじゃダメ?」

「・・・・・・」

 

またしてもルイは黙り込んでしまった。

 

「・・・そいつの家、複雑なんであんまり聞いてくれるなよ」

 

痺れを切らしたタークスが、会話に入ってきた。

 

「・・・てはだめだった、私はいてはだめだった、私はいてはだめだった」

 

ルイが同じ言葉を繰り返す。何度も何度も繰り返し、止まらない。

「私は居ては駄目だった」

ブツブツとつぶやき、ルイは両手を耳に当て、頭を抱えだした。

 

「ルイちゃ・・・」

 

ヘンドリックがルイに触れようとしたが、ルイは全力で外に飛び出した。

 

「ヤバイ・・・!!」

 

外に飛び出したルイを、タークスも全力で追いかけた。

 

「クソ・・・!!」

 

今、扉を開けてルイが飛び出したのに、影ひとつ見当たらない。

朝日がまぶしい、小鳥の声がさえずる美しい森。

人影もなく、ただ美しい森の光景が広がるだけだった。

 

「え?ルイちゃんが消えた・・・?」

 

ヘンドリックも扉の外に出て辺りを見回すが、ルイは見当たらない。

 

「あんたの言うとおり、消えたんだよ」

 

タークスが淡々と答える。

 

「消えたって・・・え?僕、落とし穴とか掘ってないけど・・・」

 

ヘンドリックが真顔で言っている。

 

「馬鹿か。今はあんたの冗談に付き合ってられられねぇよ。
あいつを探がさねぇと・・・!!嫌な予感がする!!」

 

タークスは駆け出した。

 

「ちょ、っと待ってよ!!」

 

走り去ろうとするタークスの腕を、ヘンドリックがつかんだ。

 

「何だよ!!?今はあんたの冗談に付き合ってられねぇって言っただろ!?」

「いや、真剣な話だ!消えたって、何?
・・・ルイちゃんは魔術を使えるの・・・?」

「・・・・・・」

「この大陸には伝わっていないけど、
他の大陸には「幻」という属性の魔術があるみたいだけど・・・?」

「へぇ、随分と詳しいじゃねぇの、ヘンドリックさんよ。
で、何だ?ルイはこの大陸の人間じゃないのかって聞きたいのか?」

 

タークスが挑戦的な態度で、切りかえして来た。

早くルイを追いかけたいようで、イライラしている。

 

「ご、ごめん。そんなつもりで聞いた訳じゃ・・・」

 

ヘンドリックの表情が、悲しげになっていく。

タークスがひどく怒っているのが、目に見えて分かる。

 

「・・・あんたとお喋りしている時間はない」

 

一言低い声でタークスが喋ると、タークスの背中に黒い翼が現れた。

翼が大きく広がり、一瞬でタークスが空へと飛び立った。

ただ、飛び立った後の黒い羽だけがその場に残り、ヘンドリックはボーゼンと立ち尽くしていた。

 

「・・・すごなぁ。幻獣ってあんな事も出来るんだ。
僕は何にも出来ないや・・・ほんと、何にも出来ない役立たず」

 

空から落ちてきた黒い羽を一羽つかみ、その羽を眺めながら、悲しげな声でヘンドリックはつぶやいていた。

 

「もう失うのは嫌だったのに。大切な人は作らないって決めていたのに。何、いきなりその誓いをやぶってるんだよ。
・・・強くなる事なんて、僕には無理だったんだ・・・」

 

空を見上げると、朝の日の光がまぶしい。

眩しさをさえぎる為に、目の前に手で影を作る。

ヘンドリックは、ただ黙って、空を見上げていた。

 

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暇つぶしに見てやんよ!な優しいあなたへ

オリキャラの世界を作りました。
(重い)愛♥がいっぱいあふれてます。

人生の暇つぶし程度に遊んでいってね!
描き手が喜びます!!

小説
中二病デ何カ悪イ!?
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