14:本当の心

「空から見たって、姿が見えなきゃ意味ねぇ・・・」

 

翼をはためかして、タークスがうっそうと生い茂った森の上空を飛んでいた。

 

「結構広いな、この森。
もう少ししたら、街に出れるが、あいつが街に出るわけねぇし・・・
さて、どうしたものか」

 

上空で腕を組みながら、タークスは困っていた。

どこを見ても、森・森・森・・・

小さな子供、しかも姿が見えないと来たものだから、探す気も失せる。

だが探さなければいけない。昨日のような悲劇が、また起きてしまう。

 

「幸い、人はあまりいないようだが・・・。
人じゃなくても、暴走して森を破壊しかねねぇ。
・・・早く見つけねぇと、ヤバイ事に変わりはない」

 

渋い顔をして、タークスは再び上空を飛び回り始めた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

どこかで見かけた光景。

昨日の光景だ。タークスとケンカ別れをした時の光景。

だが、今のルイの腕の中にはファストはいない。

本当に一人になってしまった。

 

ガッ

 

「ふっ・・・!!」

 

どさっと大きな音をたてて、ルイは地面に倒れこんだ。

倒れこんだ拍子に、足を怪我してしまった。

不運にも、足元に鋭く尖った木の枝があったようで、スリ切れて血が出ている。

 

「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」

 

倒れこんでから、やっと自分の体力の限界に気づいたようだ。

普段からあまり動いていないので、ルイには体力がない。

 

今は疲れ果てて、呼吸をするのも困難なようだ。

足の切り傷を気にする余裕もない。ただ、ただ、苦しい状態が続く。

さっきまでいい天気だったのに、急にポツポツと雨が降り出した。

バラのトゲのような、激しい雨がルイの体力を奪う。不幸は重なるものだ。

 

「まるで、私にきえろといっているみたい・・・」

 

耳を澄ませなければ聞こえないほどの声で、ルイがつぶやいた。

 

 

雨は強くなる一方で、やむ気配はない。

森は雨で暗くなる。まるで夜のような、暗い森の顔を見せる。

だが、ルイが倒れこんだ場所はわずかに明るい。少し開けた場所で、空が見える。

空の下には、小さな赤い花がポツリポツリと細々に咲いていた。

 

「・・・このまま寝ていたら、楽になれるかな・・・?」

 

《死ぬのは怖い》

 

突然、何処かから声が聞こえた。

『死ぬのは怖い』

ルイが喋った言葉ではない。だが、ルイの声にとても似ていた。

 

「・・・タークス・・・さん?」

 

少し上体を起き上がらせて、ルイは喋った。

だが、返事はない。

 

「ファスト・・・?」

 

ルイは倒れたまま、キョロキョロと辺りを見回して、金色の毛皮の幻獣「ファスト」の姿を探した。

 

・・・だが、ファストは喋れない。

「死ぬのが怖い」と喋るはずがなかった。

ファストが喋れないと言う事も忘れるほど、ルイは動揺しているようだ。

 

「・・・・・・」

《ヘンドリック・・・さん?》

 

再びルイによく似た声が、あたりに響いた。

 

ヘンドリックと言う名前が出てきて、ルイの顔がほんの少し赤くなった。

 

「だれなの・・・?」

 

強く降ってくる雨に、かき消されそうな声でルイは言った。

だが、返事は返ってこない。

 

「・・・どうでもいいや・・・もう、私なんかここで・・・」

《タークスさんと、・・・ヘンドリックさんが探してくれるかもしれない》

 

ビクッとルイの体が反応する。

横になって倒れているルイの目が見開いた。

 

《きっと、探しに来てくれる。探して見つけて欲しい》

「なんなの・・・!!?」

《タークスさんは、いつも私を助けてくれる。だから今度もきっと助けに来てくれる》

 

ルイの言葉とは無関係に、次々と謎の声は喋りだす。

ルイの顔が更に赤くなった。

 

《タークスさんは、私の幻獣。絶対に助けに来てくれる》

「やめてよ・・・」

《早く助けに来て欲しい。苦しくて、悲しんでいる私を、見て欲しい・・・》

「やめてよ!!!!」

《助けて助けて助けて助けて・・・助けて下さい、誰か、誰か、誰か・・・!!》

「ううぅっぅ、うわぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」

 

ルイが大きな声を空に向けて、叫んだ。

両手で耳を隠し、小さく丸まってしまった。

 

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オリキャラの世界を作りました。
(重い)愛♥がいっぱいあふれてます。

人生の暇つぶし程度に遊んでいってね!
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中二病デ何カ悪イ!?
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