15:やさしいあなたのぬくもり

《苦しんでいるふりをしていたら、助けてくれる》

《わたしは可哀想なの》

《こんな可哀想な私を、助けてください・・・》

 

ルイが苦痛の声で叫んでも、ルイに良く似た声は容赦なく喋り続けた。

 

「ちがう・・・そんなこと、思ってない」

 

《いい子にしてたら、好きになってくれる?》

《化け物の私でも、助けてくれる?悲しんでくれる?》

《ちゃんと言う事を聞いたら、もう私を嫌いにならない?》

 

「・・・誰なの?あなたは誰なの?」

 

《私はあなた。あなたの本当の心の声》

 

「ちがう・・・。私は、そんなこと、思っていない・・・」

 

《可哀想な私。ハーフで何が悪いの?私は生まれてきてはダメだったの?》

 

「・・・もういいよ・・・」

 

《あの時、消えた方が幸せだったのかな?》

 

「・・・なら、きれいにしてください・・・。
なにもかんがえないように、してください・・・」

 

ルイはぐったりとして、目をつぶった。

雨は相変わらず容赦なく降り注ぎ、ルイの体を冷す。

強い雨で分かりにくいが、ルイの目にはうっすらと涙が零れていた。

 

「おやすみなさい・・・」

 

ルイがつぶやいたと同時に、黒い影がルイにものすごい速さで近づいた。

 

「グルアァァァァ!!!!!」

 

狼だった。

先日、ルイが襲われそうになった狼の種類に似ている。

口からよだれを垂らし、ものすごい勢いで倒れこんでいるルイに飛び掛る。

空腹が重なり、かなり気が立っている様子で、ものすごいスピーとで襲ってくる・・・

 

ルイは、気付いているのか気付いていないのか分からないが、ピクリとも感じはしない。

自分の存在に絶望し、もう何も考えたくない・・・

ルイの人生が終わろうとしていた。

 

「ギャウン!!」

 

すれすれのところで、ルイに襲い掛かった狼の体が宙を舞った。

急所に当たったようで、その場で狼は気絶してしまった。

 

「ルイちゃん、大丈夫!!?噛まれていない!!?」

 

抑揚の効いた、明るい声。

だが、今は余裕がないようで声のトーンが低い。

 

火の様な赤い髪がルイの視界にぼんやりと入る。

短い髪型に、男性には不似合いなハート型の可愛らしいピン止め。

ルイのまぶたに大粒の雨の雫がのり、ハッキリとは見えないが、おそらくヘンドリックだろう。

狼の急所に当てた、鞘に入ったままの長刀を地面に置き、怪我がないかを確かめるため、ヘンドリックはルイの身体に触れた。

 

「・・・なぜ、あなたは私にやさしくするの?」

 

ぐったりと倒れこんだまま、ルイはヘンドリックに聞いた。

 

「・・・あのね、うまく言えないのだけど、君は似ているんだ、彼女に」

 

雨に打たれたまま、静かにヘンドリックの口が開いた。

次の言葉をルイは黙って聞いていた。

 

「彼女って言うのは、僕のおくさま。リリスの事だよ。彼女はルイちゃん、君にそっくりなの。」

 

ヘンドリックの顔はとても嬉しそうだ。

妻であるリリスの事が大好きなのだろう。

いとおしく、ルイの髪をなでている。

 

「リリスは頭をなでられるのが好きだったんだ・・・。
あんまり感情を出さない子だったけど、頭をなでるとちょっと恥ずかしそうに喜ぶんだよ♪」

「あたまをさわると、うれしい・・・の?」

「うん。いい事をしたら褒めてあげるんだよ。ルイちゃんはなでられた事、ない?」

「なでる・・・。いいことしたこと、ない・・・です。」

「なら、これからいい事をたくさんしようね♪
僕がこれからいい事をしたら、たくさんなでてあげるね♪」

「・・・いま、いいことしていないのに、なでられています。」

「ん、僕のことに興味を持ってくれたから、良い事となの!もっともっと僕のお話聞いてね。
でも、まずはお家に帰ろうか?雨も降ってきたし風邪をひいちゃうよっ!」

「・・・おうちじゃ、ない、です。」

 

《帰りたい。あの暖かい場所に、帰りたい。》

 

ルイの顔が真っ赤になっている。ルイに似た謎の声は本音のようだ。

 

「あはは♪僕のお家、気にいってくれているんだね!嬉しいなぁ♪
さ、一緒にお家に帰ろうね☆」

 

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暇つぶしに見てやんよ!な優しいあなたへ

オリキャラの世界を作りました。
(重い)愛♥がいっぱいあふれてます。

人生の暇つぶし程度に遊んでいってね!
描き手が喜びます!!

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中二病デ何カ悪イ!?
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