16:やさしい記憶

「わー、ルイちゃんって本当に軽いねぇ」

 

激しく雨に打たれながら、ルイを抱っこしてヘンドリックが走っている。

最初に出会った姿と同じ光景だった。

 

「・・・・・・」

「う~ん、おしゃべり花がないから、喋ってくれないとルイちゃんの心はわからないなぁ。

まぁいっか~!これからゆっくりとルイちゃんのことを知っていけばいいし!」

 

ルイはビクっと反応する。

そして小さな声で、ボソッと呟く。

 

「・・・私のこと、何も話したくないです…」

「そっかぁ、そうだよね。まずは時間が必要だよね。一緒に過ごしてまずは僕がルイちゃんの信頼を勝ち取らないとね~!」

「・・・私と一緒にいたら、ふこうになります」

「・・・なら、僕と一緒だね。僕も大事な奥さんを不幸にしてしまった。」

 

バカみたいに明るいヘンドリックが、急にしおらしくなった。

雰囲気が変わったことに、すぐに理解したルイは少しだけ表情が和らぐ。

 

「苦しい…ですか?」

「ん?」

「人を不幸にして、苦しかった・・・ですか?」

「ふふ・・・すごい質問だね。

そうだね、苦しかった。僕なんか消えてしまった方が良いと思った。僕が彼女を不幸にしてしまったたようなもの。だから消えたいって思ってた」

 

ルイは目を大きく開いた。

そして、ヘンドリックに興味がわいたようで、すぐさま質問を繰りだした。

 

「・・・・・・どうして、消えなかったんですか?」

 

今まで聞いたルイの声で、1番真剣味を帯びたトーン。

ヘンドリックは、真剣に言葉を選んで答える。

 

「彼女が僕に『生きてくれ』って言ってくれたから。

僕の奥さんね、病気でなくなったんだ。最後に言った言葉がそれだったの。

病気で苦しい記憶だけを残さないで、楽しかった思い出も思い出してねって笑っていってくれたんだ」

「・・・たのしい、おもいで・・・」

 

ルイは黙り込んだ。

そんなルイをヘンドリックは、沈黙で受け止めた。

ルイの考えている時間を、邪魔してくなかったから。

 

「私・・・つよく、なりたいです・・・。

弱い私は、きらいなんです。

だから、つよくなれるかわからないけど、つよく・・・なりたいんです」

 

しばらく沈黙が続いた後、ルイがぽつりとつぶやいた。

ヘンドリックは、柔らかい笑顔とトーンで答える。

 

「うん、そっか。

僕もこの年になっても、まだまだ弱いまんまなんだ。一緒に強くなろう」

 

ルイのはじめての「前向きな言葉」にヘンドリックは嬉しくなった。

出会ってから、ほとんどの発する言葉が「人生を諦めたような言葉」だった。

消極的で、なにもかも投げやりな言葉だった。

そんなルイが、「やりたいこと」を言ったことが、何もよりも嬉しかった。

 

「もうすぐ、お家につくよ。

改めてルイちゃん、弱い僕はとっても寂しがりやなんだ。僕と一緒に過ごしてくれませんか?」

 

ルイは、ヘンドリックの服をきゅっと握りながら、うなづくのだった。

 

 

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暇つぶしに見てやんよ!な優しいあなたへ

オリキャラの世界を作りました。
(重い)愛♥がいっぱいあふれてます。

人生の暇つぶし程度に遊んでいってね!
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中二病デ何カ悪イ!?
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